私が革の仕事を始めたばかりの頃、
真っ先に惹かれたのは、その「かたち」でした。
初めて目にした、成牛半身分の鞣し革。
「半裁」と呼ばれるそれは、
まるで地図に描かれた大陸のようで、
いまも鮮明にその光景を覚えています。
近づいて見ると、細かな傷や血筋、
シボのひとつひとつに、
この革がかつて生きていた痕跡が刻まれていました。
私はそのことに、静かに心を打たれたのです。
それから思い出したのは、
これまで目にしてきた、使い込まれた革製品たちのこと。
仕立てたばかりの頃とは違う表情をまとい、
人の暮らしに寄り添いながら、
艶や色を深め、
使う人の所作に馴染んだ形となって、
どれも誇らしげに佇んでいました。
革に刻まれた「生命の痕跡」と、
人の手と時間が生み出す「日々の痕跡」。
その二つが、
「刻々と」融け合いながら、
やがて、あなたのためだけの姿へと育っていく。
カレイドスコヲプの革製品は、
そんな「時間の記憶」を感じられるものでありたい――
そう願っています。
過去と現在、素材と人。
それぞれの時間が重なり合いながら、
あなたの手の中で、
新しい物語が息づいていきますように。
その物語が、長く、永く、紡がれますように。
そんな祈りを込めながら、私は革と対話します。
それは、あなたの未来を願うということ。